2026/08/21 13:37

見出し画像

第二回:色が記憶を連れてくる,色が違う景色を見せてくれる。

1. 風の色を作り出す面白さ!

子どもの頃、私はよく「風には色がある」と信じていました。 春の風は、少しだけ白く濁った桃色。 夏の風は、光をはじくような薄い金色。 秋は、影の混じった琥珀色。 冬は、静かに沈む青紫。
誰に教わったわけでもなく、ただ世界を見つめていると “そうとしか思えない” 色が、心の中に自然と浮かんできたのです。

大人になってから気づいたのですが、 あの頃の私は、風景を「形」ではなく「色の気配」で捉えていたのだと思います。 そして今も、絵を描くとき、最初に浮かぶのは線ではなく、 あの頃の風のように、ふわりとした色の温度です。
でも、これらは、既成概念の色で、もっと違う色で表すことが出来ないか日々悩み続けています。

2. 色が心を救った瞬間

ある日、学校からの帰り道で、夕焼けが空いっぱいに広がっていました。 その色は、言葉にできないほど大きくて、 胸の奥にあった不安や孤独を、そっと包み込んでくれたのを覚えています。

「色って、こんなふうに人を包み込んでくれるんだ」

その気づきは、今の私の絵の根っこになっています。 色はただの視覚情報ではなく、 “心のもちかたを変えてくれるもの” だと知った瞬間でした。だから私は、絵を描くとき、 「この色は、誰かの心を少しでも軽くできるだろうか」 そんな問いを、いつもどこかで抱えています。
私の作品作りは、私の想いだけではなく、見る人が画面の中に入り込める空間と色とでその人の思い出とで一体になり、作品として完成します。

画像
なかなかこの感じは出せません

3. 記憶の中の景色を描く理由

私が描く風景は、実在の場所であることも、 記憶の中で溶け合った架空の場所であることもあります。
私は、風景や花に出会ったとき、簡単なスケッチと、記録の為の写真を撮るぐらいです。そこに佇み、風や光の動き、自分が立っている空間全体を感じ取っています。なぜ、その風景や花に感動したのか、何を感じたのか、それは形なのか、色なのか、考え続けます。そして制作に入ります。今度は、画面の中で、感じたのはこの色か、こっちの色か、探しています。 “その時の感動を忘れない”ということが、大切です。
偶然出た色が、思わぬ効果が出ることがあります。色は先入観で決めないでひゃーこんな感じになるんだーと受け入れます。また、色が広がった。
私の作品の完成は、あーでもない、こーでもない色を探し続け、あぁこの色なんだ求めていた色は・・・ほぼ作品は仕上がりました。色は、感動の痕跡です。 だから私は、ありのまま描くのではなく、 “感動が残した色” を探し求め描いているのだと思います。

4. 色と出会いの物語

絵を描き続けていると、 「この色、あなたらしいですね」と言われることがあります。その言葉を聞くたびに、あなたの中の思い出の色と重なったのです。と言うことは、私+あなた+作品で 私の考える作品の完成!!!
自然の中には、不思議な色の組み合わせがいっぱい!目を大きく開いて探しましょう。

色は、出会いの記録でもあるのです。
あなたにとって、色が記憶を連れてきた瞬間はありますか?

画像
不思議な色合い見つけた

5. おわりに:次の扉へ

第2回では、私の中にある「色と記憶」の関係をお話ししました。 色は、ただ美しいだけではなく、 人の心をそっと支え、過去と現在をつなぐ静かな力を持っています。それと文章で感じとっていただくことの大変さを味わっています。「感じとっていただける文章が書けたら、画家ではなく、小説家になっている」と良く反論しています。だからといって、感じ取ってもらえる絵が描けているのか疑問符が付きますが・・・・今は、絵を描いている方が楽!

次回は、 「なぜ私は“自由な色”にこだわるのか」 その理由を、技法や思考の面から少し深く掘り下げていきます。